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第6章 単一性と分割出願
1. 序言
特許出願は特許法及びその実施細則の単一性に関する規定に合致しなければならない。特許法第31条第1項及びその実施細則第35条は、発明特許出願又は実用新案特許出願の単一性について規定している。特許法実施細則第42条、第43条は単一性に合致しない特許出願の分割及びその補正について規定している。
本章の単一性の規定は主に発明特許出願に関し、その中の基本的概念及び原則は実用新案特許出願にも適用できる。意匠特許出願の単一性審査については、本指南の第1部第3章6.2の規定を適用する。化学分野の発明特許出願の単一性審査の特殊な問題については、第2部第10章8の規定を適用する。
2. 単一性
2.1 単一性の基本概念
2.1.1 単一性の要件
単一性とは、一件の発明特許出願又は実用新案特許出願は一つの発明又は実用新案に限られ、一つの総括的な発明構想に属する二つ以上の発明又は実用新案は一件の出願として提出できることを指す。すなわち、もし一件の出願に幾つかの発明又は実用新案を含んでいるときは、これら全ての発明又は実用新案同士に一つの総括的な発明構想があり、これらが相互に関連している場合のみ許される。これが特許出願での単一性の要件である。
特許出願が単一性の要件を満たさなければならない主な理由は:
(1)経済上の理由:出願人が一件分の特許費用だけを支払って幾つかの異なる発明特許又は実用新案特許の保護を得るのを防ぐため。
(2)技術上の理由:特許出願の分類、検索及び審査を容易にするため。
単一性の欠如は特許の有効性に影響しない。単一性の欠如を特許無効の理由にしてはならない。
2.1.2 総括的な発明構想
特許法実施細則第35条は、一件の特許出願として提出できる一つの総括的な発明構想に属する二つ以上の発明又は実用新案は技術的に相互に関連し、一つ又は複数の同一の又は対応する特別な技術的特徴を含んでいなければならないと規定している。その特別な技術的特徴とは、各発明又は実用新案が全体として従来技術に対して貢献する技術的特徴を指す。
上記の条項は、一件の出願で保護を要求する二つ以上の発明が一つの総括的な発明構想に属しているかを判断する方法を定義している。すなわち、一つの総括的な発明構想に属する二つ以上の発明は、必ず技術的に相互に関連していなければならない。この相互に関連しているとは、同一の又は対応する特別な技術的特徴で以ってそれらのクレームに表されていることである。
上記の条項は、さらに特別な技術的特徴を定義している。特別な技術的特徴は、特許出願の単一性を評定するために専ら出された概念であり、発明の従来技術に対する貢献を体現する技術的特徴であると理解しなければならない。すなわち、従来技術に対して発明に新規性と創造性を具備させる技術的特徴である。さらに、保護を要求する各発明の全体から考慮した上で確定しなければならない。
従って、特許法第31条の「一つの総括的な発明構想に属する」とは、同一の又は対応する特別な技術的特徴を具備していることを指す。
2.2 単一性の審査
2.2.1 審査原則
審査官は、発明特許出願の単一性を審査するとき、以下の基本原則を遵守しなければならない:
(1)特許法第31条第1項及びその実施細則第35条に規定される内容に基づき、一件の特許出願において保護を要求する二つ以上の発明が単一性要件を満たしているかを判断するには、クレームに記載された技術方案の実質的な内容は一つの総括的な発明構想に属するか否かを見る必要がある。すなわち、それらクレームにそれらを技術的に相互に関連させる一つ又は複数の同一の又は対応する特別な技術的特徴を含んでいるか否かを判断する。この判断は、クレームの内容に基づき行われるものであるが、必要なときは明細書と図面の内容を参照することができる。
(2)一つの総括的な発明構想に属する二つ以上の発明のクレームは以下の六つの形式のうちのいずれかに照らして作成できる。但し、一つの総括的な発明構想に属さない二つ以上の独立クレームは、以下の六つの形式のうちのいずれかに照らして作成されたものであっても一件の出願で保護を要求することは許されない。
(@)一つのクレームの中に含めることができない二つ以上の製品又は方法の同類の独立クレーム。
(A)製品とその製品専用の製造方法に関する独立クレーム。
(B)製品とその製品の用途に関する独立クレーム。
(C)製品と、その製品専用の製造方法と、その製品の用途に関する独立クレーム。
(D)製品と、その製品専用の製造方法と、その方法を実施するために専門に設計された装置に関する独立クレーム。
(E)方法とその方法を実施するために専門に設計された装置に関する独立クレーム。
そのうち、形式(@)の「同類」とは、独立クレームの類型が同じであることを指す。すなわち、一件の特許出願で保護を要求する二つ以上の発明は、製品だけ若しくは方法だけに関する発明である。一つ又は複数の同一又は対応する特別な技術的特徴が複数の製品類型の独立クレーム同士又は複数の方法類型の独立クレーム同士を技術的に関連させる場合のみ、一件の特許出願の中に複数の同類の独立クレームを含めることが許される。
形式(A)〜(E)は二つ以上の異なる類型の独立クレームの組み合わせに関する。
製品とその製品専用の製造方法に関する独立クレームの組み合わせについて、その「専用」の方法を利用した結果、その製品を得られるのであり、両者は技術的に相互に関連する。但し「専用」は、その製品を他の方法で製造できないことを意味するわけではない。
製品とその製品の用途に関する独立クレームの組み合わせについて、その用途は必ずその製品の特別な性能によって決定されるのであれば、両者は技術的に相互に関連する。
方法とその方法を実施するために専門に設計された装置に関する独立クレームの組み合わせについて、その「専門に設計された」装置は、その方法を実施できる以外に、その装置の従来技術に対する貢献は必ずその方法の従来技術に対する貢献と対応していなければならない。但し「専門に設計された」の意味は、その装置をその他の方法を実施するのに使用できない、又はその方法をその他の装置で実施できないことを指すわけではない。
異なる類型の独立クレーム同士が引用関係に沿って作成されているか否かについては、形式的に異なっていれば、それらの単一性に影響はない。例えば、製品Aの独立クレームと並列する製品A専用の製造方法の独立クレームは、「……クレーム1に記載の製品Aを製造する方法」と書くこともできるし、「……製品Aを製造する方法」と書くこともできる。
(3)以上に、一件の出願の中に含めることが許される二つ以上の同類の又は異なる類型の独立クレームの組み合わせ形式および適切な配列順序を六つ挙げたが、この六つの形式が全てではなく、一つの総括的な発明構想に属するという前提のもと、上記配列の組み合わせ形式以外の他の形式も許される。
(4)二つ以上の発明が一つの総括的な発明構想に属するか否かを評定するのに、それらの発明がそれぞれの独立クレームで別々に保護を要求しているか、それとも同一のクレームで並列選択の技術方案として保護を要求しているかを考慮する必要はない。上記の二つの状況については、同じ基準でその単一性を判断しなければならない。後者の状況は、マーカッシュ形式クレームによく見られる。マーカッシュ形式クレームの単一性の審査については、第2部第10章8.1の規定を適用する。この他、クレームの配列順序も発明の単一性の判断に影響するものではない。
(5)通常、審査官は独立クレーム同士の単一性だけを考慮すればよく、従属クレームとその従属先の独立クレームの間には単一性欠如の問題は存在しない。但し、形式的には従属クレームであるが、実質的には独立クレームであるという状況に遇した場合、それが単一性の規定に合致しているか否かを審査しなければならない。
もし一つの独立クレームが新規性、創造性の欠如などの理由で特許権を受けられない場合、その従属クレーム同士は単一性の規定に合致しているか否かを考慮する必要がある。
(6)ある出願の単一性は、従来技術検索の前に確定することができるが、ある出願の単一性は従来技術を考慮してからでなければ確定できない。一件の出願の中の異なる発明が明らかに一つの総括的な発明構想を有していないときは、検索の前に単一性に欠けると判断できる。例えば、一件の出願の中に除草剤と草刈り機の二つの独立クレームが含まれている場合、両者には同一の又は対応する技術的特徴がないため、同一の又は対応する特別な技術的特徴がある可能性はない。したがって、明らかに単一性を具備しておらず、検索の前に結論を出せる。しかし、特別な技術的特徴は発明の従来技術に対する貢献を体現する技術的特徴であり、従来技術との比較の上に論じられるものであるため、従来技術を考慮してからでなければ確定できない。このため、多くの出願の単一性問題は常に検索の後でなければ判断できない。
出願と従来技術を比較した後、第1の独立クレームの新規性又は創造性を否定した場合、それと並列するその他の独立クレーム同士は一つの総括的な発明構想に属するか否かを改めて確定しなければならない。
2.2.2 単一性の審査方法と例示
一件の出願の中に含まれる二つ以上の発明を検索する前に、それらは明らかに単一性を具備していないか否かを先に判断しなければならない。もしそれらの発明に同一の又は対応する技術的特徴が含まれていない場合、若しくはそこに含まれている同一の又は対応する技術的特徴は全て所属分野の慣用的な技術手段に属する場合、それらは発明の従来技術に対する貢献を体現する同一の又は対応する特別な技術的特徴を含んでいる可能性はないため、明らかに単一性を具備しない。
単一性に欠けていることが明らかでない二つ以上の発明について、すなわち、検索の後でなければ単一性を判断できない場合は、通常以下の分析方法を採用する:
(1)第1の発明の主題と関連の従来技術とを比較し、発明の従来技術に対する貢献を体現している特別な技術的特徴を確定する。
(2)第2の発明の中に一つ又は複数の第1の発明と同一の又は対応する特別な技術的特徴が存在するか否かを判断し、これによってその二つの発明は技術的に相互に関連しているか否かを確定する。
(3)もし発明の間に一つ又は複数の同一の又は対応する特別な技術的特徴が存在している場合、すなわち、技術的に関連している場合、それらは一つの総括的な発明構想に属しているとの結論が得られる。逆に、もし各発明の間に技術的な関連が存在していない場合、それらは一つの総括的な発明構想に属していないとの結論が得られるため、それらは単一性を具備していないと確定できる。
以下に単一性の基本概念、審査原則及び判断方法を合わせ、例を挙げて単一性の審査要点を説明する。
2.2.2.1 同類の独立クレームの単一性
【例1】
クレーム1:Aを特徴とするベルトコンベヤーX。
クレーム2:Bを特徴とするベルトコンベヤーY。
クレーム3:AとBを特徴とするベルトコンベヤーZ。
従来技術に特徴A又はBを備えるベルトコンベヤーに関する開示はない。特徴A又はBを備えるベルトコンベヤーは従来技術から容易ではない。そしてAとBは関連しない。
説明:クレーム1とクレーム2は同一の又は対応する技術的特徴を記載していない。つまり同一の又は対応する特別な技術的特徴が存在する可能性はない。したがって、これらは技術的に相互に関連せず、単一性を具備しない。クレーム1の特徴Aは発明の従来技術に対する貢献を体現している特別な技術的特徴であり、クレーム3にはその特別な技術的特徴Aが含まれている。両者の間には同一の特別な技術的特徴が存在し、単一性を具備する。同様に、クレーム2とクレーム3との間にも特別な技術的特徴Bが存在し、単一性を具備する。
【例2】
クレーム1:ビデオ信号拡張器を特徴とする発信器。
クレーム2:ビデオ信号圧縮器を特徴とする受信器。
クレーム3:クレーム1の発信器とクレーム2の受信器とを備えたビデオ信号伝送装置。
従来技術に所属分野で使用される拡張器と圧縮器の使用に関する開示や暗示はない。このような使用は容易ではない。
説明:クレーム1の特別な技術的特徴はビデオ信号拡張器であり、クレーム2の特別な技術的特徴はビデオ信号圧縮器である。これらは相互に関連し分けて使用することはできない。両者は互いに対応する特別な技術的特徴であり、クレーム1と2は単一性を具備する。クレーム3はクレーム1と2両者の特別な技術的特徴を備えている。このためクレーム3はクレーム1又は2のいずれとも単一性を具備する。
【例3】
クレーム1:Aを特徴とするプラグ。
クレーム2:Aに対応することを特徴とするソケット。
従来技術に特徴Aを備えるプラグおよび対応するソケットに関する開示や暗示はない。このようなプラグとソケットは容易ではない。
説明:クレーム1と2は対応する特別な技術的特徴を備えており、保護を要求するプラグとソケットは互いに関連し且つ二つの製品を必ず同時使用するため、単一性を具備する。
【例4】
クレーム1:直流モータに用いられる制御回路であって、前記回路は特徴Aを有する。
クレーム2:直流モータに用いられる制御回路であって、前記回路は特徴Bを有する。
クレーム3:特徴Aを有する制御回路を用いた直流モータを具備する装置。
クレーム4:特徴Bを有する制御回路を用いた直流モータを具備する装置。
特徴AとBはそれぞれ従来技術に対する貢献を体現している技術的特徴である。そしてAとBは全く関連しない。
説明:特徴Aはクレーム1と3の特別な技術的特徴であり、特徴Bはクレーム2と4の特別な技術的特徴である。但しAとBは関連していない。したがって、クレーム1と3の間、又はクレーム2と4の間には特別な技術的特徴があるため、単一性があるが、クレーム1と2又は4の間、若しくはクレーム3と2又は4の間には特別な技術的特徴がないため、単一性がない。
【例5】
クレーム1: フィラメントA。
クレーム2: フィラメントAを用いて製造された電球B。
クレーム3: フィラメントAを用いて製造された電球Bと回転装置Cとを備えたサーチライト。
従来技術に開示されている電球に用いられるフィラメントと比べ、フィラメントAは新しくて創造性を具備する。
説明: これら三つのクレームは同一の特別な技術的特徴であるフィラメントAを具備しているため、これらの間には単一性がある。
【例6】
クレーム1: 製品Aの製造方法B。
クレーム2: 製品Aの製造方法C。
クレーム3: 製品Aの製造方法D。
従来技術と比べ、製品Aは新しくて創造性を具備する。
説明: 製品Aはこれら三つの方法クレームの同一の特別な技術的特徴であり、これらの三つの方法B、C、Dの間には単一性がある。当然、製品A自体についてもう一つの製品クレームを設けることができる。もし製品Aが既知の場合、製品Aは特別な技術的特徴にならない。このとき、これら三つの方法の単一性を改めて判断しなければならない。
【例7】
クレーム1:樹脂Aと、填料Bと、防燃剤Cとからなる樹脂組成物。
クレーム2:樹脂Aと、填料Bと、抗静電剤Dとからなる樹脂組成物。
所属分野では樹脂A、填料B、難燃剤C、抗静電剤Dはどれも既知であり、ABの組み合わせは発明の従来技術に対する貢献を体現していない。しかし、ABCの組み合わせは優れた性能を持つ難燃樹脂組成物を形成し、ABDの組み合わせも優れた性能を持つ抗静電樹脂組成物を形成しており、これらはそれぞれ新規性と創造性を具備する。
説明:二つのクレーム両方に同一の特徴AとBが含まれていても、A、B及びABの組み合わせはいずれも発明の従来技術に対する貢献を体現していない。クレーム1の特別な技術的特徴はABCの組み合わせであり、クレーム2の特別な技術的特徴はABDの組み合わせであり、両者は同一でも対応するでもない。したがって、クレーム2とクレーム1は単一性を具備しない。
2.2.2.2 異なる類型の独立クレームの単一性
【例8】
クレーム1:化合物X。
クレーム2:化合物Xの製造方法。
クレーム3:化合物Xの殺虫剤としての応用。
(1)第1の状況:化合物Xは新規性と創造性を具備する。
説明:化合物Xはこれら三つのクレームの同一の技術的特徴である。これは発明の従来技術に対する貢献を体現している技術的特徴、つまり特別な技術的特徴であるため、クレーム1〜3には同一の特別な技術的特徴が存在し、クレーム1、2及び3は単一性を具備する。
(2)第2の状況:化合物Xは従来技術に比べ新規性又は創造性を具備しないことを検索で発見した。
説明:クレーム1は新規性又は創造性を具備しないため特許を受けられない。クレーム2と3の同一の技術的特徴はやはり化合物Xであるが、化合物Xは従来技術に貢献していないため、同一の特別な技術的特徴ではない。そして、クレーム2と3の間にも対応する特別な技術的特徴はない。したがって、クレーム2と3の間には同一の又は対応する特別な技術的特徴は存在せず、単一性に欠ける。
【例9】
クレーム1: 主成分(重量%)として、Ni=2.0〜5.0、Cr=15〜19、Mo=1〜2及びバランス量のFeを含み、厚さが0.5〜2.0mm、伸び率が0.2%の時、降伏強度が50kg/mm2を超える高強度、耐腐食性のステンレス鋼帯。
クレーム2: 主成分(重量%)として、Ni=2.0〜5.0、Cr=15〜19、Mo=1〜2、及びバランス量のFeを含む高強度、耐腐食性のステンレス鋼帯を生産する方法であって、以下の工程からなる:
(1)2.0〜5.0mmの厚さに熱間圧延し、
(2)熱間圧延した帯を800〜1000℃の温度で焼鈍し、
(3)前記帯を0.5〜2.0mmの厚さに冷間圧延し、
(4)1120〜1200℃の温度で2〜5分間焼鈍する。
従来技術と比べ、伸び率が0.2%の時、降伏強度が50kg/mm2を超えるステンレス鋼帯は新規性と創造性を具備する。
説明:クレーム1と2の間には単一性がある。製品クレーム1の特別な技術的特徴は、伸び率が0.2%時、降伏強度が50kg/mm2を超えることである。方法クレーム2の工程は、このような降伏強度を有したステンレス鋼帯を生産するために採用した加工方法である。クレーム2の記載表現にこの点は体現されていないが、明細書から明瞭に見て取れる。このため、これらの工程は製品クレーム1で限定された強度特徴に対応する特別な技術的特徴である。
本例のクレーム2の書き方はクレーム1を引用する形式でもよく、それら二つの間の単一性に影響はない。例えば、
クレーム2: クレーム1に記載のステンレス鋼帯を生産する方法であって、以下の工程からなる:
(工程(1)〜(4)は前述と同じであるため、ここでは省略する。)
【例10】
クレーム1: 防塵物質Xを含有した塗料。
クレーム2: クレーム1に記載の塗料を応用して製品に塗布する方法であって、以下の工程からなる:
(1)圧縮空気で塗料を霧状になるようスプレーし、
(2)霧状塗料を電極装置Aによって帯電させてから製品にスプレー塗布する。
クレーム3: 電極装置Aを備えたスプレー塗布設備。
従来技術と比べ、物質Xを含有した塗料は新規性と創造性を具備し、電極装置Aも新しくて創造性を具備する。しかし圧縮空気で塗料を霧化し、霧化した塗料を帯電させてから直接製品にスプレー塗布する方法は既知である。
説明:クレーム1と2には単一性がある。そのうちXを含有した塗料がこれらクレームの同一の特別な技術的特徴である。クレーム2と3にも単一性がある。そのうち電極装置Aがこれらのクレームの同一の特別な技術的特徴である。しかしクレーム1と3には単一性がない。それはこの両者のクレームには同一の又は対応する特別な技術的特徴がないからである。
【例11】
クレーム1:工程条件Bのもと、紡績材料に塗料Aをスプレー塗布することを特徴とする紡績材料の処理方法。
クレーム2:クレーム1に記載の方法によってスプレー塗布して得られた紡績材料。
クレーム3:紡績材料に均一に塗料を塗布するノズルCを備えたことを特徴とするクレーム1に記載の方法で用いたスプレー塗布機。
従来技術に塗料を用いた紡績材料の処理方法は開示されているが、クレーム1の特別な工程条件B(温度や照射角度など)で特別な塗料Aをスプレー塗布する方法は開示されていない。そして、クレーム2の紡績材料は予測できない特性を具備している。ノズルCは新しくて創造性を具備する。
説明:クレーム1の特別な技術的特徴は、特別な塗料を選択するために必ず対応して採用される特別な工程条件である。そして、この特別な塗料と特別な工程条件で処理することによってクレーム2に記載の紡績材料が得られる。このため、クレーム1とクレーム2には対応する特別な技術的特徴があり、単一性を具備する。クレーム3のスプレー塗布機とクレーム1又は2には対応する特別な技術的特徴がないため、クレーム3はクレーム1又は2のいずれとも単一性を具備しない。
【例12】
クレーム1: 工程Aと工程Bからなる製造方法。
クレーム2: 工程Aを実施するために専門に設計された装置。
クレーム3: 工程Bを実施するために専門に設計された装置。
クレーム1の方法と関連する従来技術文献は何も検索されなかった。
説明:工程Aと工程Bはそれぞれ発明の従来技術に対する貢献を体現した特別な技術的特徴である。クレーム1と2又はクレーム1と3の間には単一性がある。クレーム2と3の間には、同一の又は対応する特別な技術的特徴がないため単一性はない。
【例13】
クレーム1:混合燃焼室の正接方向に燃料供給口を設けたことを特徴とする燃焼器。
クレーム2:混合燃焼室の正接方向に燃料供給口を設ける工程を含むことを特徴とする燃焼器の製造方法。
クレーム3:鋳込み工程を特徴とする燃焼器の製造方法。
クレーム4:混合燃焼室の正接方向に燃料供給口を設ける装置Xを備えたことを特徴とする燃焼器の製造装置。
クレーム5: 自動制御装置Dを備えたことを特徴とする燃焼器の製造装置。
クレーム6:正接方向から燃料を燃焼室に供給する工程を含むことを特徴とするクレーム1に記載の燃焼器を用いてカーボンブラックを製造する方法。
従来技術は非正接方向の燃料供給口と混合室を具備した燃料器を開示している。従来技術から、正接方向の燃料供給口を具備した燃料器は既知ではなく、容易でもない。
説明:クレーム1、2、4及び6には単一性がある。それらの特別な技術的特徴はどれも正接方向の供給口に関する。クレーム3又は5とクレーム1、2、4及び6の間には同一の又は対応する特別な技術的特徴がないため、クレーム3又は5とクレーム1、2、4、又は6の間に単一性はない。またクレーム3と5の間にも単一性はない。
2.2.2.3 従属クレームの単一性
本章2.1.1(5)の原則に基づき、規定に合致する従属クレームとその従属先の独立クレームとの間には、たとえその従属クレームが別の発明を含んでいても、単一性欠如の問題は存在しない。
例えば、独立クレームは鋳鉄の新しい生産方法であって、その具体的な実施例として、ある温度範囲でその生産方法によって鋳鉄を生産することを示している場合、その温度範囲について従属クレームを作成することができ、また独立クレームで温度について説明していなくても、その従属クレームに対して、単一性に欠けるという意見を出してはならない。
また、クレーム1は製品Aの製造方法であって、Bを原料として使用していることを特徴とし、クレーム2はクレーム1の製品Aの製造方法であって、原料BをCで製造することを特徴としている場合、クレーム2はクレーム1の全ての特徴を含んでいるため、CでBを製造する方法自体が一つの発明であるか否かに関係なく、クレーム1と2は単一性に欠けると考えてはいけない。
さらに、クレーム1はタービンのブレードであって、このブレードが特別な形状を有することを特徴とし、クレーム2はクレーム1のタービンのブレードであって、このブレードが合金Aで製造されていることを特徴としている場合、たとえ合金Aが新しく、それ自体で一つの独立クレームを構成し得るものであり、且つ、この合金をブレードに応用することに創造性があるとしても、クレーム2とクレーム1との間の単一性に対して意見を出してはならない。
ときに、形式的には従属クレームであるが、実質的には独立クレームである場合があるが、このときは、単一性欠如の問題が存在する可能性があることに注意しなければならない。例えば、クレーム1は接触器であって、特徴A,B,Cを備えており、クレーム2はクレーム1の接触器であって、前記特徴CをDで代替している場合、クレーム2はクレーム1の全ての特徴を含んでるわけではないため、従属クレームではなく、独立クレームである。同類独立クレームの単一性の審査原則に照らしてそれらの単一性を判断しなければならない。
独立クレームが新規性や創造性欠如などの理由により特許権を受けられない場合、その従属クレームの間に単一性欠如の問題が存在する可能性がある。
【例】
クレーム1:特徴Aと特徴Bを有したディスプレイ。
クレーム2:さらに特徴Cを有したクレーム1に記載のディスプレイ。
クレーム3:さらに特徴Dを有したクレーム1に記載のディスプレイ。
(1)第1の状況:従来技術が開示しているディスプレイと比べ、クレーム1に記載の特徴Aと特徴Bを有したディスプレイは新規性と創造性を具備する。
説明:クレーム2と3はクレーム1の保護範囲を更に限定した従属クレームであるため、クレーム1、2及び3は単一性を具備する。
(2)第2の状況:二つの従来技術文献を合わせてみれば、クレーム1に記載のディスプレイは創造性を具備しない。一方、特徴Cと特徴Dはそれぞれ従来技術に貢献する技術的特徴であり、また両者は全く関連しない。
説明:クレーム1は創造性を具備せず特許権を受けられないため、残りのクレーム2と3を実質的に独立クレームと見なし、その間の単一性の有無を判断しなければならない。しかしクレーム2の特別な技術的特徴Cとクレーム3の特別な技術的特徴Dは同一でも対応するでもないため、クレーム2と3に単一性はない。
3. 分割出願
3.1 分割する幾つかの状況
一件の出願に下記の単一性に合致しない状況があるものに対し、審査官は出願人に出願書類を補正(分割出願することを含む)するよう要求し、単一性の要件に合致させるようにしなければならない。
(1)当初クレーム書に単一性の規定に合致しない二つ以上の発明が含まれている。
当初クレーム書に、一つの総括的発明構想に属さない二つ以上の発明が含まれている場合、出願人にそのクレーム書をその中の一つの発明(通常はクレーム1の発明)若しくは一つの総括的発明構想に属す二つ以上の発明に制限するよう要求しなければなない。残りの発明について、出願人は分割出願することができる。
(2)補正した出願書類において追加又は差し替えした独立クレームは当初クレーム書の発明との間に単一性を具備しない。
出願人が審査の過程で、当初明細書のみに記載されていた発明を独立クレームとして当初クレーム書に追加する補正を行い、若しくは審査意見通知書に応答する際に、当初明細書のみに記載されていた発明を独立クレームとして当初独立クレームと差し替える補正を行い、そして、その発明と当初クレーム書の発明との間に単一性がない場合、審査官は出願人に後から追加又は差し替えた発明をクレーム書から削除するよう要求しなければならない。出願人はその削除した発明を分割出願できる。
(3)独立クレームの一つが新規性又は創造性に欠け、残りのクレームの間には単一性がある。
ある独立クレーム(通常はクレーム1)が新規性又は創造性に欠けるため、それと並列する残りの独立クレームの間、さらにはその従属クレームの間で同一の又は対応する特別な技術的特徴を失った、すなわち、単一性に欠け、補正が必要になった場合、補正して削除した主題について、出願人は分割出願できる。例えば、製品、製造方法、用途を含む出願に対し、検索及び審査にて製品は既知であると分かったとき、残りのその製品の製造方法独立クレームとその製品の用途独立クレームとの間に同一の又は対応する特別な技術的特徴は有り得ないため、それらは補正する必要がある。
上記の状況の分割について、出願人は自発的に分割出願を要求してもよいし、審査官の要求に基づき分割出願してもよい。但し、分割出願は出願人が自ら望んで行う行為であるため、審査官は単一性の要件に合致しない二つ以上の発明を一つの発明、若しくは一つの総括的発明構想に属す二つ以上の発明に改める要求だけすればよい。補正後の残りの発明を分割出願するか否かについては、完全に出願人自身が決定することである。
また、一件の出願から、一件又は一件以上の分割出願をすることができ、また、一件の分割出願から当初出願を依拠として更に一件又は一件以上の分割出願をすることができる。一件の分割出願から更に分割出願をするものについて、審査官が単一性の欠如を指摘する場合を除き、その提出日が本指南第1部第1章5.1.1(2)の規定に合致しないものは許されない。
3.2 分割出願が満たすべき要件
分割出願は下記の要件を満たさなければならない。
(1)分割出願の書類
分割出願はその明細書の初め、すなわち発明が属する技術分野の前に、本願はどの出願の分割出願であるかを記載し、親出願の出願日、出願番号、発明の名称を明記しなければならない。
分割出願を提出するとき、親出願書類の副本を提出しなければならない。優先権を主張しているものは、親出願の優先権証明書の副本も提出しなければならない。
(2)分割出願の内容
分割出願の内容は親出願の開示の範囲を超えてはならない。ここで言う「開示の範囲」とは特許法第33条の「記載の範囲」と理解しなければならない。そうでなければ、特許法実施細則第43条第1項又は特許法第33条の規定に合致しないという理由で、その分割出願を拒絶しなければならない。
(3)分割出願の明細書とクレーム書
分割後の親出願と分割出願のクレーム書はそれぞれ異なる発明の保護を要求しなければならない。それらの明細書には異なる状況があることが許される。例えば、分割前の親出願にはA、B二つの発明があり、分割後、親出願のクレーム書でAの保護を要求する場合、その明細書に依然としてAとBがあってもよいし、Aだけ残ってもよい。また、分割出願のクレーム書でBの保護を要求する場合、その明細書に依然としてAとBがあってもよいし、Bだけであってもよい。
分割出願の出願人、提出時期、分割出願の類別の要件については、本指南第1部第1章5.1.1の規定を適用する。
3.3 分割の審査
一件の出願を分割する必要がある状況において、分割の審査には、分割出願についての審査と、分割後の親出願についての審査が含まれ、特許法実施細則第42条及び第43条に基づき審査しなければならない。
(1)特許法実施細則第43条第1項の規定に基づき、分割出願の内容は親出願の開示の範囲を超えてはならない。そうでなければ、審査官は出願人に補正するよう要求しなければならない。もし出願人が補正しない又は補正した内容も親出願の開示の範囲を超えている場合、審査官は特許法実施細則第53条第(4)項の規定に基づき、分割出願は特許法実施細則第43条第1項の規定に合致しない又は補正は特許法第33条の規定に合致しないことを理由にその分割出願を拒絶できる。
(2)特許法実施細則第42条第2項の規定に基づき、一件の出願が特許法第31条及び特許法実施細則第35条の規定に合致しない場合は、出願人に指定期間内にその出願を補正するよう、つまり、この指定期間内に親出願を一つの発明又は一つの総括的な発明構想に属する幾つかの発明に改めるよう通知しなければならない。同時に、出願人に、正当な理由なしに期限内に応答しない場合、その出願は取り下げられたものと見なす、という注意を喚起しなければならない。充分な理由なしに親出願を単一性を具備する出願に改めない場合、審査官は出願は特許法第31条第1項の規定に合致しないという理由でその出願を拒絶できる。 同様に、親出願からの分割出願が単一性の規定に合致しないものについても、上記の方式で処理しなければならない。
(3)特許法実施細則第42条及び第43条の規定に基づく審査以外の審査は、一般の出願の審査と同じである。 |
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